皆さんはPocket WiFiと聞けば何を思い浮かべますか。
WiMAXが頭に浮かぶという方もおられると思います。
「WiMAXのモバイル型ルーターがポケットWiFiじゃないか」という方の言い分もよく分かります。
それでは,WiMAXとPocket WiFiでは,何がどう違うのでしょうか。
今回はWiMAXがPocket WiFiと異なる点をサービスや料金体系別にお伝えします。
目次
WiMAXとは
まずは,ここからですよね。
WiMAXの定義をざっくりとご説明します。
WiMAXは「Worldwide Interoperability for Microwave Access」の略称で,3Gや4G LTEのような無線技術の1規格で独自の回線になっています。
WiMAXの規格は海外でも用いられており,アメリカや韓国など一部の国でもWiMAXサービスが提供されています。
ただし,海外のWiMAXを利用するためには現地での契約が必要で,日本で契約して海外で利用できるわけではありません。
日本ではUQコミュニケーションズがWiMAXの提供を行っており,UQ WiMAXの名称は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
UQコミュニケーションズは2007年に設立され,当初はKDDIの完全子会社でしたが,2008年には複数企業が資本参加しています。
WiMAXが登場した当初はラップトップPCにWiMAXの受信機が内蔵されており,WiMAXに対応したPCを購入することでルーター端末を持つことなくPC単体でWiMAXの通信が行えました。
現在はLTEモジュール搭載PCが増えていますが,この先駆けがWiMAXだったというわけです。
現在ではWiMAXに対応したPCは発売されておらず,ルーター端末のみの契約になっています。
WiMAXとWiMAX2+の違い
WiMAXのサービス開始当初は「WiMAX」という名称で通信規格を統一していましたが,利用していた電波の特性上,最大通信速度が制限された状態でした。
さらに高速なインターネット回線を提供するためには通信規格の見直しが必要になり,2015年に「WiMAX 2+」という名称の新しい通信規格を提供し始めました。
旧通信規格の「WiMAX」では下り(ダウンロード)速度が最大13Mbpsしか出せませんでしたが,新規格の「WiMAX 2+」では最大440Mbpsになり,向上しました。
440Mbpsという値はあくまで理論値で必ず実現できるわけではありませんが,キャパシティが上がったことで「WiMAX2+」の方が有利になったのは事実です。
そして,2020年3月をもって旧「WiMAX」は提供を終了し,今では「WiMAX 2+」のみの提供に切り替わっています。
現時点では「WiMAX 2+」のみであることから,WiMAXと呼ばれている回線はすべて「WiMAX 2+」回線のことを指します。
WiMAXのサービス提供エリア
WiMAXのサービス提供エリア範囲は,全国人口カバー率の90%以上を達成しており,主要都市においては99%以上カバーできています。
しかし,WiMAXは4G LTE回線ではない独自の通信規格を利用していて高周波数帯の電波であるため,障害物には弱くなっています。
4G LTE回線であれば,山間部や地下でも良好に接続できますが,WiMAXでは圏外表示になって利用できないことも珍しくありません。
WiMAXのご契約前には必ず,自宅や職場などのよく利用する場所で電波が受信できるかご確認ください。
WiMAXでは,サービス提供エリアマップを作成して数ヶ月ごとに更新しています。
数ヶ月前には利用できなかった場所も今では使えるようになっている場合もありますので,この機会にご覧いただければと思います。
WiMAXプロバイダー
WiMAXのサービス提供はUQコミュニケーションズが一括して行っています。
契約できるプロバイダーは複数社あり,利用者が様々なプロバイダーから選択できるようになっています。
WiMAXサービスを提供している各プロバイダーはUQコミュニケーションズと提携しており,各社でWiMAX回線を借りているわけではありません。
そのため,格安SIMのように料金は安いが速度は遅いという状況に陥ることがありません。
どのプロバイダーと契約しても回線の提供元はUQコミュニケーションズであるため,契約先によって通信速度が低下したり,通信容量が少なくなったりすることはないわけです。
Pocket WiFiとは
「Pocket WiFi」は,Y! mobileが提供しているモバイル型インターネット提供サービスになります。
Y! mobileはSoftbankのサブブランドにあたります。
「Pocket WiFi」は,Softbank系の4G LTE回線を利用していて,WiMAXを意識したサービスになっています。
このように「Pocket WiFi」はWiMAXとは異なるサービスを指し示すことになるのですが,なぜが腑に落ちないという方も多いはず。
実は近年,「ポケットWiFi」という名称がモバイル型ルーター全体を指す言葉になりつつあるのです。
本当はサービス名称なのですが「ポケットWiFi = モバイル型ルーター」となってしまっており,WiMAXのルーターも「ポケットWiFi」の中に入ってしまいつつあります。
余談ですが,本サイトではサービス名を指す場合には「Pocket WiFi」と表示し,モバイルルーターの総称になりつつある「ポケットWiFi」はカタカナで表記しています。
また,モバイルルーターは「モバイル型ルーター」と表記するなど,誤解を生まないよう配慮しています。
Pocket WiFiの通信エリアは,Softbank 4G LTE回線提供エリアと同じで,山間部や地下,トンネルなどでも良好に電波を受信することができます。
WiMAXとPocket WiFiの違い
WiMAXとPocket WiFiではサービスの提供会社や回線網が異なることは分かりましたが,具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
次項では,料金体系やルーター端末について比較していきます。
料金
WiMAX (GMO とくとくBB) | Pocket WiFi | |
回線 | WiMAX | Softbank 4G LTE |
最大速度 | 1Gbps | 612Mbps |
速度制限 | 3日間で10GB以上の利用
月間通信容量: 無制限 |
3日間で10GB以上の利用
月間通信容量: 無制限 |
契約期間 | 3年 | 2年 |
月額料金 | 契約月: 日割り計算
契約月の翌月と翌々月: 3,609円 以降: 4,263円 |
4,065円 |
事務手数料 | 3,000円 | 3,000円 |
端末代金 | 0円 | 10,800円 |
キャッシュバックキャンペーン | 最大31,000円 | なし |
WiMAXもPocket WiFiも,月に7GBまで利用できるプランと月間通信容量に制限を設けていないプランの2種類があります。
基本的にモバイル型ルーターを利用する方は月間通信容量無制限のプランを選択すると思いますので,そのプランの利用を前提で話を進めます。
どちらのサービスも月間通信容量に制限はないのですが,3日間で10GB以上の通信を行うと当日から翌日にかけて通信制限が実施されます。
詳細は,WiMAXの場合,当日18時~翌日02時の間,通信速度が最大1Mbpsに制限されます。
Y! mobileの場合は当日18時~翌日01時の間,通信速度が最大128Kbpsに制限されます。
月額料金はどちらもほとんど変わりませんが,WiMAXの場合,端末代金は無料です。
WiMAXプロバイダーのGMO とくとくBBではお得なキャンペーンを実施していて,1年間継続して利用した場合は高額キャッシュバックを受け取ることができます。
一方,Pocket WiFiでは端末代金の支払いが必要になり,特別なキャンペーンも実施していないため割高感が否めません。
また,WiMAX利用者はauかUQのスマホを既に契約中していれば,月額料金の割引サービスを利用できます。
端末
WiMAXでは,常に4機種ほどが選択できるようになっています。
WiMAXの場合,NECプラットフォームとHUAWEI JAPANの2社からルーターが発売されています。
性能は,HUAWEI製のルーターが圧勝しており,あえてNEC製を選択するメリットはありません。
ルーターの種類はモバイル型と据え置き型の2種類で,モバイル型はバッテリーを内蔵していて持ち運んで利用する際に,据え置き型は自宅で高速なインターネット通信環境を構築したい場合におすすめです。
Pocket WiFiの場合はHUAWEI JAPAN製のルーター取り扱いが多くなっています。
選択するプランによって利用できるルーター端末も異なり,全機種から自由に選べるわけではありません。
ルーター端末にはSIMロックがかけられていて,他社のSIMを入れて使うことはできなくなっています。
ルーター端末の種類はモバイル型の1種類で,据え置き型の取り扱いはありません。
WiMAXのメリット
ここからは,WiMAXを利用する上でメリットとなる点をいくつか紹介したいと思います。
WiMAXは光固定回線やPocket WiFiで実現できない様々な難所をクリアしています。
主にWiMAXのメリットは以下のとおりです。
- 月間通信容量無制限で利用できる
- 持ち運んでどこででも使える (モバイル型ルーターの場合)
- 自宅のホームルーター代わりに使える (据え置き型ルーターの場合)
- 4G LTE回線より高速で,最大1Gbpsの通信に対応
- 利用開始にあたり,工事が必要ない
WiMAXはプロバイダーによっては当日受付時間内に契約を完了させると,最短即日発送が可能で翌日には使い始められるサービスを提供しているところがあります。
ネットで契約後に店舗受取りができるプロバイダーもあり,店舗側のスケジュールが空いていれば当日受け取りも利用できます。
このようにWiMAXでは契約から使い始められるようになるまでのスピード感を重視しているプロバイダーがいくつかあります。
すぐに発送してくれるプロバイダーを積極的に利用することで,使いたいと感じたときにすぐに利用でき大変便利です。
WiMAXのデメリット
WiMAXはメリットがたくさんありますが,デメリットも存在します。
- 山間部や地下では接続しづらい
- 3日間で10GB以上使うと,速度制限がある
- 最低利用期間が3年と長い場合がある
- 違約金が発生する
ほとんどのプロバイダーでは,WiMAXを最低限利用しなければならない期間を設定しています。
GMOとくとくBBやBroad WiMAXでは3年に設定されているのに対して,BIGLOBEでは1年に設定されています。
UQ WiMAXでは月額料金を高く設定する代わりに最低利用期間を設けていないプランもあります。
最低利用期間を設けることで月額料金が安く設定できたり,キャンペーンを実施できたりするプロバイダーもありますので,一概に利用期間の設定有無について意見することはできません。
最低利用期間内に解約することはできますが,違約金が発生します。
基本的には各プロバイダーごとに更新月が決められており,その更新月に解約することで違約金を支払わず解約することが可能です。
結論: WiMAXの特性を捉えよう
WiMAXでは月額料金が安くなったり月間通信容量が無制限で利用できるなど嬉しい点がたくさんある反面,利用場所によっては電波を受信しにくかったり,最低利用期間が設定されているなど歓迎されない部分もあります。
これらの特徴を全く知らずに契約してしまうと,後で後悔することになってしまうと思いますので,しっかりと特性を捉えた上で検討・ご利用いただければと思います。
特にWiMAXが合わないと感じた方は無理して契約せず,他の回線もあわせてご検討いただければ幸いです。
GMOとくとくBBでは,最大31,000円のキャッシュバックキャンペーンを実施しています。
端末代金が無料で高額キャッシュバックも受けられるため,実質利用料金を下げることができます。
気になる方は,ぜひチェックしてみてくださいね。
とくとくBBは,インターネット関連業を幅広く手掛けるGMO社によって運営されているプロバイダー。最大31,000円のキャッシュバックキャンペーンを実施しており,ルーター端末代金は無料。
Broad WiMAXは,月額料金が安いので余分な出費を抑えられる。一部の地域で店舗受け取りサービスが利用でき,最短当日から使い始められる。他社回線からの乗り換えで違約金を負担してもらえるのも魅力的。
カシモWiMAXは毎月利用料金が割引され,3年目も安く利用できる。ルーター端末は最新機種の取り扱いがあり安心である。使い方がわからないときは電話1本で手厚いサポートが受けられる点も高評価。
BIGLOBEは最低利用期間が1年で短いため,気軽に試すことができる。ルーター端末ありのプランを契約すると,15,000円のキャッシュバックが受けられる。口座振替決済に対応しており,利用しやすい。
SPACE Wi-Fiはレンタル型サービスで,契約期間に縛りがない。月単位で契約でき,出張や旅行時に重宝する。事務手数料や端末代金などの初期費用や違約金は一切必要なく,手軽に利用できるのが特徴である。