格安SIMは様々な面でコストカットをしている分,大手キャリアよりも安い料金体系になっています。
しかし,格安SIMに乗り換えたら緊急速報を受信できなくなったという声を聞くこともあり,不安になります。
そこで,緊急速報はどのような仕組みで配信されているのか調査してみました。
今回は,格安SIMでも緊急速報を受けることはできるのか,どのような条件が必要なのかお伝えします。
目次
緊急速報とは
先程から連呼している「緊急速報」ですが,どのようなものかご存知でしょうか。
文字通り,緊急時にスマートフォンへ配信される速報のことなのですが,簡単に言えば非常事態をお知らせしてくれる通知のことです。
マナーモードにしていても強制的に音がなり,メッセージの受信を知らせるため,気づかないことはほとんどありません。
それでは,緊急速報にはどのような種類があるのか見ていきましょう。
緊急地震速報
緊急地震速報は地震発生後,大きな揺れが到達する数秒~数十秒前に配信することを目的に整備されたシステムです。
速報は「一般向け」と「高度利用者向け」の2種類が用意されています。
- 一般向け: 予測震度が5弱以上の場合にテレビやスマートフォンなどに通知され,震度4以上の強い揺れが予想される地域をお知らせする。
- 高度利用者向け: 地震が発生した際に各地の震度や揺れの到達時間が分かる。発表基準が低いため,誤報の可能性も高い。
私たちがスマートフォンで受信するのは一般向けの速報で,気象庁が発表したものになります。
現時点では緊急地震速報時に警報と特別警報の区別はなく,とにかく1秒でも速く情報を伝達する目的で運用されています。
災害・避難情報
災害・避難情報は豪雨や台風で発表された警報を,いち早く国民に知らせるシステムです。
近年は九州北部豪雨や西日本豪雨など,地震以外の場合にも避難を必要とすることがあります。
特別警報が発令されると,自動的にスマートフォンに配信されるような仕組みになっており,深夜や早朝などでも多くの国民に気づいてもらえるよう,工夫しています。
最近では災害発生時にテレビでも大きく取り上げられますが,テレビは常時つけているわけではないため,スマートフォンへの配信は有効な伝達手段の1つと言えるでしょう。
Jアラート
Jアラートは弾道ミサイルでの攻撃やテロ事件の発生時に発表される速報です。
対象地域の住民に正確な情報を届けるため,消防庁と地方公共団体が連携してJアラートシステムを整備しています。
最近では,北朝鮮でミサイル実験が行われた際に配信されましたので,Jアラートという名称は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
Jアラートは配信されないに越したことはない速報なんですけどね…
格安SIMでも緊急速報を受信できるのか
それでは,上記でご紹介した3つのアラートは格安SIMを利用していても受信できるのでしょうか。
この項で詳しく確認していきましょう。
緊急速報は標準規格
緊急速報はいち早く住民に危険性を知らせるため,通常のメールとは異なるシステムで配信されています。
LTEではETWS(Earthquake and Tsunami Warning Systemの略)という規格が標準化されており,地震津波警報システムを意味します。
LTEが誕生した当初はETWS規格は整備されておらず,各キャリアが独自に災害情報を配信していましたが,docomoなどの働きかけによって,標準規格として成立しました。
一部の速報は受けられない可能性がある?
先程,LTEでETWS規格が標準化されたとお話しましたが,ETWS規格を利用する場合はメッセージIDという情報が付加されます。
メッセージIDの中で,地震と津波に関する速報は標準仕様を使っていて,どのプロバイダーと契約していても受信することができます。
しかし,豪雨や台風などの自然災害時に発令される特別警報やJアラートは,標準規格を利用しておらず,独自規格で配信を行っています。
そのため,格安SIMを利用していると,緊急地震速報は受信できても災害情報やJアラートは受信できないといった事態が発生する場合があります。
データ専用SIMでも受信可能?
データ専用SIMでも緊急速報を受信することは可能です。
緊急速報はSIMカードの種類ではなく,速報を通知するエリアに入っているかどうかによって判断するため,インターネットのみが利用できるデータ専用SIMでも受信できます。
しかし,先程お伝えしたように地震速報の受信はできますが,特別警報やJアラートは利用できない可能性が高いので,これらは別の情報筋を確保しておく必要があります。
iOSでもAndroidでも受信できる?
iOSでもAndroidでも対応機器であれば受信できます。
(ただし,タブレット端末では受信を想定していない場合がありますので,あくまでスマートフォンでの受信を想定します。)
iOSの場合はiPhoneになりますが,iPhone5C以降のモデルであれば各種緊急速報を受信可能です。
iPhoneは大手キャリアでも販売されていて,最新OSが提供されるため,SIMフリー端末と格安SIMの組み合わせでも緊急速報の受信が行なえます。
一方,Androidの場合は各メーカーでカスタマイズを行っていることが多く,OSバージョンやメーカーの対応状況によって受信可否はまちまちです。
特に海外が主要販路となっていて,グローバルモデルが日本で提供されている場合は,カスタマイズを行う際に不要な機能と判断されて省かれている可能性があります。
AndroidはOSのアップデートが提供されないケースも多いため,2・3年前に購入した機種の場合は新機種への乗り換えを検討した方が良いかもしれません。
ただ,docomoなどがAndroid8.1で緊急速報の共通仕様を策定したため,これからAndroidスマートフォンでも緊急速報の受信に対応した機種が増えていくのではないでしょうか。
防災情報アプリも有効活用しよう!
格安SIMで運用している場合は,少なからず緊急速報の対象外となってしまうことがあります。
そんなときは災害情報アプリをインストールしておけば,非常時に備えられます。
「Yahoo! 災害情報」アプリではプッシュ通知を受け取ることができるため,災害発生時には緊急速報と大差ない早さで最新情報を入手できます。
また,アプリではGPSと連携して予測範囲を地図に表示できたり,現在地の緊急情報を瞬時に入手できたりするため,とても便利です。
上記アプリはほとんどのスマートフォンへ導入することができ,利用料も無料です。
災害はいつやってくるか分かりませんので,最悪の事態に備えて準備しておくようにしましょう。
今回は,格安SIMでも緊急速報を受信できるのかという話題でお伝えしました。
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