TP-Link Tapo D230S1は遠隔地から双方向通話が可能な配線不要のスマートドアホン。広視野角カメラは優れた解像度とカラー暗視機能を、6700mAh大容量バッテリーは数ヶ月にわたる長時間駆動を実現する。柔軟なストレージ展開が可能なスマートハブ「Tapo H200」付属。
今回は、TP-Link社から発売されたスマートドアホン「Tapo D230S1」をレビューする。
スマートドアホンと聞くと馴染みがないかもしれないが、簡単に言えば次世代型のインターホン。
訪問者がドアホンのボタンを押すとスマホに通知が届き、リアルタイムで映像を確認しながら応対できる。
また、低照度環境で鮮明なカラー映像を提供し、人物や物体の動体検知だけでなく、ユーザーの防犯対策にも貢献する。
本記事では、ドアホンの外観や取り付け手順、特徴、検証結果などを掲載している。
目次
TP-Link Tapo D230S1|外観とデザイン
ドアホン本体
Tapo D230S1は配線工事不要で簡単に設置できる、充電式のワイヤレスドアホン。
一般的なインターホンと比べると、細長くスタイリッシュな印象だ。
本体は非光沢素材で、ホコリや雨水が付着しても目立ちにくい。
前面の黒い部分に、カメラやセンサー類が縦に並んでいる。
側面はこんな感じ。
下部のボタン部分に少し傾斜がついている。
前面のカメラやモーションセンサーに出っ張りがあることも確認できる。
背面は防水仕様のフタがついており、その中に充電池を入れて使用する。
天面にある小さな穴にピン (付属)を差し込むと、裏フタが外れる仕組みだ。
電池は本製品専用のリチウムイオンバッテリー (付属)なので、他の電池をセットしないよう注意してほしい。
充電池はMicroUSBケーブルで充電する。
USB Type-Cでないのが非常に残念だが、恐らく既製の基板を流用することで製造コストを抑えているのだろう。
この手の製品には珍しく、USBアダプターも付属しているので、大人しくこれらを使って充電しようと思う。
ハブ
次はドアホン本体と通信を行う、スマートハブ「Tapo H200」を見ていこう。
白基調のシンプルなデザインで、スリット部分にスピーカーを搭載している。
スマート製品との中継地点を担う機器なので、ハブ自体に特殊な機能はついていない。
上部側面はコネクタ類が集結。
右側面にSYNCボタンが配置されている。
基本的に設定はアプリから行うので、このボタンを使う機会はほぼない。
背面にはゴム足と仕様が記載されたシールが貼り付けられている。
その他の付属品
そのほか、電源コードやLANケーブル、設定ガイドなどが付属する。
必要なものは一通り揃っているので、買い足し不要だ。
LANケーブルは0.9m、電源コードは3mだった。
この小さなピンは、本体の裏フタを開けるのに使用するもの。
ゼムクリップなどでも代用できるが、バッテリーを充電・交換する際に必要になるので、無くさないように保管しておこう。
TP-Link Tapo D230S1|仕様
製品名 | Tapo D230S1 | |
カメラ | 画質 | 500万画素 |
解像度 | 2K (2560×1920px) |
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動体検知 | 〇 | |
ナイトビジョン | 〇 | |
防塵・防水 | 〇 (IP64) |
製品名 | Tapo D230S1 | |
カメラ | ||
イメージセンサー | 1/2.7型 | |
画質 | 500万画素 | |
解像度 | 2K (2560×1920px) | |
レンズ | F/NO: 2.1mm | |
視野角 | 対角160° | |
ナイトビジョン | 850nm IR LED (最長7.6m) | |
防塵・防水規格 | IP64 | |
ビデオ | ||
フレームレート | 15fps | |
ストリーミング画質 | 500万画素 | |
ストリーミング解像度 | 2K (2560×1920px) | |
音声圧縮コーデック | G.711 | |
動画圧縮コーデック | H.264 | |
記録媒体 | 4-512GBのSDHC / SDXCカード ※SAMSUNG Evo Plus・TOPESEL MicroSDカードは非推奨 |
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音声 | ||
通話 | 双方向通話 | |
入出力 | マイク・スピーカー内蔵 | |
ネットワーク | ||
接続方法 | ドアホン – ハブ | IEEE802.11b/g/nベース 2.4GHz ※ドアホン本体はWiFiルーターへの接続不可 |
ハブ | 有線LAN (DHCPが有効であること) | |
セキュリティ | SSL/TLS 128ビットAES暗号化 | |
プロトコル | TCP/IP・ICMP・DNS・HTTPS・TCP・UDP | |
使用周波数 | 2.4GHz | |
ワイヤレスセキュリティ | WPA / WPA2-PSK | |
アクティビティ通知 | ||
トリガー対象条件 | 動体検知・荷物検知・人物検知・ペット検知・車両検知 | |
通知 | 通知・スナップショット ※スナップショットはTapo Care加入時 |
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環境 | ||
動作環境 | -20℃~45℃ 10~90%RH (結露なきこと) |
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保存環境 | -20℃~45℃ 5~90%RH (結露なきこと) |
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ハードウェア | ||
ドアホン |
ボタン | Reset (初期化) / SYNC (同期)ボタン / 盗難防止ボタン |
LEDインジケーター | システムLED | |
アダプター (入力) | 100-240V, 50 / 60Hz | |
アダプター (出力) | 5.0V, 1.0A | |
寸法 | 奥行46×幅54.5×高さ35.5mm | |
重量 (実測値) | 176g | |
ハブ |
ボタン | Reset (初期化)ボタン / SYNC (同期)ボタン |
LEDインジケーター | システムLED | |
アダプター (入力) | 100-240V, 50 / 60Hz, 0.3A | |
アダプター (出力) | 9.0V, 0.85A | |
寸法 | 奥行71.45×幅71.45×高さ31.25mm | |
重量 (実測値) | 72g | |
参考価格 | 21,890円 |
付属品
LANケーブル | 規格 | カテゴリー 5 | |
長さ | 915mm | ||
電源コード (ハブ接続用) |
寸法 |
縦 | 59mm |
横 | 47mm | ||
高さ | 27mm | ||
長さ | 2970mm | ||
USBケーブル (バッテリー充電用) |
規格 | USB-A to MicroUSB | |
長さ | 470mm | ||
USBアダプター (バッテリー充電用) |
規格 | USB-A | |
寸法 | 縦 | 67mm | |
横 | 41mm | ||
高さ | 25mm | ||
その他 | バッテリー ネジ&アンカー 両面テープ 取り付け位置決めシール 角度調整用パーツ ドアホン取り外し用ピン ボタン貼り付け用シール かんたん設定ガイド 保証書・サポート窓口のご案内 GNUライセンス利用告知書 |
※付属品の寸法・長さは実測値
TP-Link Tapo D230S1|使い始めるための準備
取り付け
Tapo D230S1は、両面テープとネジ固定の2種類の取り付け方法がある。
簡単に設置できるが、どちらの方法でも取り付け面 (壁面)を傷つける恐れがある。作業の際は十分注意してほしい。
両面テープで取り付ける
まず、両面テープの粘着力が落ちないように、取り付け面 (壁面)の汚れを落とそう。
既設のインターホンがある場合は取り外してから作業すること。
取り付け面 (壁面)がキレイになったら、付属している両面テープをドアホン本体の背面に貼り付ける。
同じ要領でもう一方の剥離紙もはがして、取り付け面 (壁面)に設置すれば、作業完了だ。
取り付け面 (壁面)に凹凸があるとドアホンが落下する危険があるため、ネジ止めでの固定をおすすめする。
ネジ固定で取り付ける
設置場所が決まったら、取り付け面 (壁面)に付属の位置決めシールを貼り付けよう。
位置決めシール上に穴開け箇所が印刷されているので、ドリルで穴を2箇所開ける。
取り付け面 (壁面)の強度が低い場合は、ボードアンカーを使用すること。
その後、ドアホンの裏フタを取り外し、取り付け面 (壁面)にネジ止めする。
あとはドアホン本体をセットすれば取り付け完了だ。
もし左右に角度調節が必要な場合は、角度調整用パーツを取り付け面 (壁面)と裏フタの間に挟んでネジ固定すれば問題ない。
初期設定
初期設定の大まかな手順は、ハブ「Tapo H200」をセットアップした後、ドアホン「Tapo D230S1」を登録する流れだ。
ドアホン本体は直接ネットに接続できず、すべてハブ経由の通信となる。最初にドアホンの設定を試みても検出できないので注意。
初期セットアップはスマホのTapoアプリで行う。(PCやブラウザから設定不可)
Tapoアプリのインストールが済んでいない場合は、下記からダウンロードし、TP-Link IDでログインを済ませておこう。
TP-Link Tapo
TP-LINKposted withアプリーチ
スマートハブの登録
右上の「+」ボタンを押して、「デバイスを追加」をタップ。
Tapoデバイスのタブから「ドアベル」→「Tapo D230」に進む。
「デバイスを追加できませんでした」と表示されたら、下に表示されている「Tapo H200」を押そう。
そのあとは、画面の案内にしたがってネットに接続し、デバイス名や設置場所を設定する。
新しいファームウェアの更新案内が出てきたらアップデートしておくとよい。
「設定完了」画面に切り替わったら、下部の「他の端末を接続」ボタンを押下。
「ハブにデバイスを追加」ページで、ドアベルの「Tapo D230」を選択しよう。
接続方法の案内が表示されるので、指示に従ってバッテリーを挿入し、電源を入れる。
「Tapoデバイスを選択」画面で、MACアドレスが記載されたドアホンが検出されるはずだ。
あとはハブと同様にデバイス名と設置場所を設定したら作業完了だ。
ドアホンの細かな設定や取り付けガイドが分かりやすく表示されるので、一度目を通しておこう。
TP-Link Tapo D230S1|特徴・使い勝手・注意点
外出先から手軽に応対できる
Tapo D230S1は一般的なインターホンと異なり、宅内に受信機 (応答する機器)がない。
その代わり、普段から利用しているスマホに通知を送り、来訪者を知らせる仕組みだ。
本製品はハブを通して常時ネットにつながっているので、宅内外問わず、リアルタイムで映像を確認したり、その場で訪問者に応答したりできる。
届いた通知をタップすれば、すぐにドアホン前の映像が表示されて、ボタンを押すと通話可能な状態になる。テレビ電話のような感覚に近い。
なお、一部ではスマホの画面がロックされた状態だと通知が届かないという声があったが、今回検証した限りでは問題なかった。
また、出先で直接対話することが困難な場合に重宝するのが、クイック応答機能。
アプリ内で用意されている定型文や事前に録音しておいた音声をボタンひとつでドアホンのスピーカーから流すことができるので、制限された環境からでも柔軟に対応できる。
例えば、荷物を置き配してほしい場合や日を改めて再訪問してもらいたい場合などにおすすめだ。
映像をSDカード or クラウドに保存OK
本製品にはドアホンのボタンが押された際や人物・車両といった動体をカメラが検知した際に、自動で映像を録画・保存する機能が備わっている。
他社製品でも同様の機能が提供されているが、利用時にサブスクリプション型のクラウドサービスへ加入しなければならないケースがほとんどだ。
クラウドサービスはシームレスな保存・再生を実現するほか、冗長性や応答性にも優れ、手軽に使い始められる利点がある。
ただその反面、定期支払いが発生したり、解約が面倒だったり、データの管理方法が不透明だったりとデメリットもあるため、クラウドサービスを利用したくないユーザーも一定数いるのではないだろうか。
そんなユーザーの悩みを解決すべく、本製品ではMicroSDカードへのデータ記録に対応している。
MicroSDカードは別途購入が必要だが、継続課金なしでデータを手元に保存しておける安心感がある。
512GBまでの容量に対応し、MicroSDカードに保存された録画映像は、Tapoアプリで外出先からも確認可能だ。
メーカーからすれば継続的に資金が調達できないビジネスモデルは痛手のはずだが、クラウドの利便性と物理ストレージの透明性を両立させたのは立派だと思う。
ちなみにTP-LinkではTapo Careと呼ばれる独自のクラウドサービスも用意している。
当然有料になるが、1デバイスあたり月額440円、年額4,390円と意外に良心的な価格設定。
初回は30日間の無料トライアル期間が設けられているので、気になる方は試してからでも遅くないだろう。
カラーナイトビジョンで夜間も鮮明に記録
Tapo D230S1は、夜間や雨天時など光量が十分でない環境下においても鮮明な映像を記録する。
ごくわずかな光でカラー撮影が可能なスターライトセンサー搭載カメラを採用。
さらにドアホンが押された際に周囲の明るさに応じて内蔵スポットライトを点灯することで、より識別しやすい映像に仕上げる。
また、暗視撮影で主流の赤外線カメラと比べてノイズが抑えられるのも大きなポイントだ。
通常の赤外線カメラだと赤外線の照射範囲が限られるため、近くが明るく、遠くが不鮮明になりやすい。
それに記録した映像はモノクロなので、せっかく録画しても読み取れる情報量が極端に少ない問題があった。
本製品の場合、低照度環境におけるカラー撮影に加えて、160°の広視野角で4:3の画面比率に対応。
特にこれまで撮影できなかった、ドアホンから近いエリアの上下方向が広範囲にわたって記録できる。
広角レンズの特性上、映像に歪みが生じるのは理解してもらいたい。
【注意】バッテリー持ちは4ヶ月程度
本製品はドアホン本体のバッテリーが最長180日 (6ヶ月)持つと謳っているが、実際のところ3~4ヶ月程度が限界だと感じる。
バッテリーの消費量はボタンが押される回数や利用する機能によって大きく変化し、通信頻度が高くなるほどバッテリーの減りも早くなる。
例えば、大通りに面した建物に動体検知や録画機能を有効化した状態で設置した場合、センサーの反応率は高くなり、1ヶ月前後のサイクルで充電が必要になるだろう。
一方、人通りが少ない建物で、ボタンが押されたときのみ録画する設定であれば、1ヶ月で20%ほど消費し、1回の充電で4~5ヶ月持つと考える。
ユーザーごとに設置環境・使用頻度が異なるため一概に評価することはできないが、突然のバッテリー切れが不安なら予備のバッテリーパックがおすすめだ。
バッテリーの残量は、Tapoアプリ上で確認できる。
1%単位で細かく表示されるので、交換時期の目処も立ちやすいだろう。
ただし、バッテリー式の欠点は充電中にドアホンが使えないこと。
充電時間は5時間ほどだが、その間は本体からバッテリーを取り外す必要があるので注意してほしい。
もちろん、予備バッテリーを購入していればダウンタイムをゼロに抑えられるぞ。
【注意】ハブは有線接続が必須 → 解決
ドアホンと一緒に使用するスマートハブ「Tapo H200」は、有線LANでネットに接続する。
有線接続する理由は、WiFiだと設置場所や電波強度によって通信速度が変化し、十分な性能を発揮できないから。
時代遅れに感じるかもしれないが、本製品は映像や音声といった大容量のデータを扱うため、安定した通信環境が必要になる。
事前にルーターの状態を確認し、LANポートに空きがない場合は、スイッチングハブと追加のLANケーブルも用意しよう。
ちなみに有線接続する箇所は、ネット (ルーター)とハブの間。
ハブとドアホンの間は配線することなく、無線接続できるので安心してほしい。
追記: スマートハブ「Tapo H200」のファームウェアをアップデートすることで、ネット (ルーター)とハブ間も無線接続が可能になりました。
TP-Link Tapo D230S1|まとめ
この記事では、TP-Link社のスマートドアホン「Tapo D230S1」をレビューした。
本製品は、簡単な取り付け、高画質のビデオ記録、柔軟なストレージシステム、人物や物体の動体検知機能などを提供し、利便性と手軽さを両立させた最新のスマートドアベル。
付属バッテリーの充電ポートが昔ながらのMicroUSBであることは非常に残念だが、ユーザー自身で交換できる点、予備バッテリーが安価に入手できる点は魅力的だ。
個人的には、一般的なインターホンシステムと暗視対応の見守りカメラを融合させたような商品だと感じた。
今回は以上である。