格安SIMには,トリプルキャリアやマルチキャリアと呼ばれているプロバイダーがあるのをご存知でしょうか。
通常は1種類の回線しか取り扱いがない格安SIMですが,事業者によっては複数キャリアに対応していることがあります。
ただ,このような簡易的な説明だけでは分からないことが多いと思います。
そこで今回は,格安SIMのマルチキャリアとは何なのか,どのような特徴があるのかお伝えします。
目次
マルチキャリアとは
マルチキャリアは,格安SIMプロバイダーが複数キャリアの回線を取り扱っている際に使われるワードです。
格安SIMでは,今まで1社につき1種類の回線のみを取り扱っていたのですが,最近では1事業者で複数のキャリアを契約できるケースがあるため,このようなワードが誕生したと考えられます。
通常はUQモバイルのならau回線,Y! mobileならSoftbank回線とプロバイダーごとに利用できる回線が決まっています。
したがって,au回線で契約したければUQモバイル,Softbank回線で契約したければY! mobileとなるわけです。
しかし,LINEモバイルやmineoといった大手キャリアのグループ会社傘下でないプロバイダーが格安SIMの取り扱いを始めたことで,系列会社の回線を使用する必要がなくなったのです。
よく耳にするLINEモバイルやmineoなどでは2つ以上の大手キャリア回線を借り受けてサービスの提供を行っており,複数キャリアから契約者が自由に選べる仕組みが整っています。
マルチキャリアのメリット
マルチキャリアを提供している格安SIM事業者はいくつかありますが,共通して言えるメリットがあります。
この項では,マルチキャリアがUQモバイルやY! mobileなどの単一回線しか取り扱っていないプロバイダーよりも有利な点を解説します。
使える機種が多い
SIMカードはスマートフォンに入れて使用すると思いますが,大手キャリアのショップ(オンラインショップも含む)で購入した端末は基本的に他のキャリアでは利用できません。
例えば,auショップで購入した端末はdocomoやSoftbank回線のSIMカードを挿入しても電波をキャッチしないのです。
他回線で利用できない理由はいくつかあるのですが,一番の原因は端末側でSIMロックと呼ばれる利用制限が設定されているからです。
SIMロックは各キャリアショップやウェブサイトで解除できることが多いのですが,端末代金を分割で支払っている場合に滞納や未払い状態になると解除できなくなることがあります。
とは言え,SIMロックは解除しなくても同じ種類の回線であれば問題なく利用できることがほとんどです。
そんな時に格安SIM事業者が複数キャリアを取り扱ってくれていれば,自分が所有している端末に合った回線を選択することができ,端末を新たに購入し直すことなくそのまま利用できます。
格安SIMでマルチキャリアを展開しているプロバイダーでは,ホームページに端末の動作確認結果を掲載していることが多いので,気になる方は調べてみてください。
通信速度が安定しがち?
格安SIMの通信速度は大手キャリアと比較すると不安定で,利用者が増える時間帯には急激に低下するケースが多く見られます。
この現象は格安SIM事業者が他社回線を借りて運用している以上,ある程度は仕方のないことなのですが,マルチキャリアを取り扱っているプロバイダーは安定して利用できる印象です。
もちろん,安定していると言っても単一回線を取り扱っている格安SIMプロバイダーと比べてということですので,大手キャリアよりも安定しているということではありません。
格安SIMで不安定になる要因は,利用者が多くなると大人数が送受信するデータを捌ききれなくなるからなのですが,マルチキャリアを展開している場合は回線にかかる負荷が複数回線に分散されるのです。
複数キャリアの回線を借りているということは1つの回線で賄われているわけではないため,契約者が複数キャリアに分かれれば,自然と負荷も複数回線に分かれて高負荷状態に陥りにくくなります。
以上の理由より,単一回線の格安事業者よりも安定して利用できる可能性があるのです。
他キャリアの利用を一元化できる
最近では,デュアルSIMが利用できるスマートフォンが増加していて,1人で複数キャリアや複数回線の利用がしやすくなっています。
デュアルSIMとは1台のスマートフォンに2枚のSIMカードを挿入して使用することができる機能で,仕事とプライベートで使う電話番号を分けて所有したり,異なるキャリアのSIMカードにして通信障害時に備えることができます。
そんな端末が販売され始めた影響か,1人で複数回線を契約するケースも増え,格安SIMの登場により低価格な回線を契約しやすくなりました。
他にも家族でそれぞれ異なるキャリアの回線を利用したい場合,今まではそれぞれの事業者と別々に契約する必要がありましたが,マルチキャリアの誕生により,1つのプロバイダーで複数のキャリア回線を契約することができるようになりました。
同じプロバイダーと契約すると,データ通信容量をシェアできたり,複数契約や家族契約による割引が適用できたりして,さらにお得に使えます。
マルチキャリアのデメリット
マルチキャリアの台頭により,今まで利用しづらく感じていたサービスが利用しやすくなりました。
しかし,マルチキャリアの取り扱いがある格安SIM事業者で契約する際には注意しておくべきポイントもあります。
1契約1キャリア
先程から「複数キャリアが利用できて便利!」とお伝えしていますが,1契約で複数キャリアを同時に利用できるわけではありません。
どんなときもWi-FiではCloud SIM技術によってトリプルキャリアの中から最適な回線を自動判別して利用できるサービスが用意されていましたが,格安SIMのマルチキャリアはそのようなサービスではありません。
契約時に事前に利用したいキャリアを選択する形となり,契約後は容易に回線種類を変更することはできません。
(契約後に回線種類を変更すると事務手数料やSIMカード再発行手数料が発生することが大半です。)
契約前には必ず自分が利用したい端末がどの回線に対応しているのか,確認してから契約するようにしてくださいね。
プランによって料金が異なる
マルチキャリアを提供している格安SIM事業者では,回線種類によって利用料金が異なります。
一般的には,docomo回線が安価でSoftbank回線が高価であると言われています。
実際にSoftbankは法人向けにサービスを提供しており,ヤマト運輸や佐川急便などの宅配業者や病院など様々な場所でモバイル端末に利用されていて,回線品質が高いイメージがあります。
一方,docomo回線はズバ抜けて速度が速いわけではありませんが,サービス提供エリアが3大キャリアの中では一番広く,どんな場所でもとにかく繋がりやすいことが特徴です。
格安SIMでマルチキャリアに対応しているmineoでは,回線によって最大100円ほどの差があります。
この差を通信品質の問題と割り切って利用するか,やはり100円の差は大きいと考えるかは皆さん次第です。
回線によってサービスが異なる
これもマルチキャリア対応に対応している格安SIMプロバイダーの特徴なのですが,すべての回線で同じサービスが利用できるわけではありません。
上記と同じmineoで比較すると,キャリア決済が行えるのはdocomo回線のみです。
mineoでのキャリア決済とは,Google Playストアで有料アプリやアイテムの課金などを行う際に月々の利用料金と合算して請求できる仕組みで,購入時にクレジットカードを登録する必要がありません。
他にも,データ専用SIMを申し込んだ際にau回線の場合はSMSサービスの基本料金が無料ですが,docomo回線とSoftbank回線で申し込んだ場合は,それぞれ月額120円と180円がかかります。
今やほとんどの事業者でデータ専用SIMでもSMS機能の利用が可能になっているため,プランによってオプション料金が発生するのは納得できないですよね。
マルチキャリアは幅広い端末に対応
ここまで,マルチキャリアについての特徴をご紹介してきました。
マルチキャリアの醍醐味はやはり所有端末をそのまま利用できるところで,異なる回線を複数契約しても1つの事業者だけで済むところに魅力を感じます。
現在ではマルチキャリアに対応しているプロバイダーも増えていますので,格安SIMで契約する際は選択肢が広がるのではないでしょうか。
皆さんのご家庭が別々の事業者で契約している場合は,一度,料金や通信速度について話し合ってみるのも良いかもしれません。
最後に,当記事は皆様のお役に立ちましたか。
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